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風ニ負ケヌ草トナリ、雨ニ負ケヌ花ヲ咲カセル。私ハソンナ人間デアリタイ。


by masami_ws

日本人はいつから腰抜けになったのか

 昭和20年4月、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトの訃報に対し、当時の首相鈴木貫太郎が同盟通信の短波放送で、不倶戴天の敵国であるはずのアメリカ国民に弔意を示した。戦争中の敵国に対するこの日本人の行為は、世界の人々に驚きと敬意を持って受け止められた。

「アメリカ側が今日、優勢であることについては、ルーズベルト大統領の指導力が非常に有効であって、それが原因であったことは認めなければならない。であるから私は、ルーズベルト大統領の逝去がアメリカ国民にとって非常なる損失であることがよく理解出来る。ここに私の深甚なる弔意を米国民に表明する次第である。しかし、ルーズベルト氏の死によって、アメリカの日本に対する戦争継続の努力が変わるとは考えていない。日本側としても米英のパワーポリティックスと世界支配に反対するすべての国家の共存共栄のために戦争を続行する決意をゆるめることは決してないであろう。」

 今回の北朝鮮からの訃報に対して、日本政府の官房長官は「個人としては弔意を示すが、日本政府としては…」などと、様々な声を懸念してか、腰抜けな発言をしている。

 たとえ、どんな人間であれ、人の死に際しては瞑目し、その家族、一族に対しては弔意を表する、というのは我々日本人が、さまざまな歴史を経て身につけてきた、世界に誇れる教養である。

 キム・ジョンウィルが死んでも、この指導者の下に行われた国家的犯罪が許されるということはない。ただし、人の生死の尊厳というものを忘れるほど日本人は無教養になったのか。だとしたらそれは、傷つき、囚われの身となり無抵抗で命乞いするカダフィを、惨たらしいリンチにかけ殺した野蛮に通ずるものがある。

 そして死者を鞭打つことで、拉致問題、核問題など、この国に関わる問題の解決が促進されるとは到底思えないし、人間として最低限の礼を尽くすことがそれを阻害するとも思えない。

 日露戦争で辛くも勝利した日本人は、陸においては乃木希典が、海においては東郷平八郎が、それぞれの軍で敗将となったステッセルとロジェストヴェンスキーに対し礼を持って接し、敵味方双方の戦死者を弔った。

 アメリカに気を使っているのか、誰に気を使っているのかは知らないが、藤村官房長官の今回のやりようはいかにも腰抜けだ。日本人の誇りはどこへ行った、と大きな声で言いたいのである。

 長くなるが、鈴木貫太郎の終戦後のことばを最後に読んでほしい。現代日本人に対する過去からの警鐘をここに聴くべし。

「日本人として是非とも残しておきたい美点は何かといえば、本当の武士道であると思う。ヨーロッパにおいて古代には騎士道があり、その精神は脈々と現在にも伝わって来ているのであろうが、日本が過去において世界に誇ってよかったものは武士道であったと思う。武士道は決っして武を好む精神ではない。正義、廉潔を重んずる精神であり、慈悲を尊ぶ精神である。これを失ったままにしておくことは日本民族の精髄を失うことになる。
 役人が国民に約束したことを破って平然としている。知人間、同胞間でお互いがてんでに勝手な生活をしている。約束は実行しない。自由を放縦とはき違えている。こんなことでは騎士道を重んずる連合国の人々にますます劣等国視されるばかりだ。
 いたずらに外面的な新を追い外国風な風俗になることが、民主主義ではない。民主主義の裏づけとなるものは、正義、人道、寛容、友愛その他真に日本の武士道と共通するものである。
 また、これからの日本人は精神も肉体も健全であると同時に、勤勉であり、能率的でなければならぬと思う。日本人が非常に非能率的であるということをよく耳にするが、それは日本人が生活訓練を怠っている証拠であり、常時訓練を行えば、日本人は驚くべき能率をも発揮し得る国民である」

by masami_ws | 2011-12-23 07:50 | ビーンボール163㎞

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